ちょっとしたアイデアが1億円を生み出した!ミリオン・ダラー・ホームページ

サイバー攻撃

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実はオークションが終了する3日前、テューさんはThe Dark Groupと名乗るグループから5,000ドルの身代金を支払わなければ、ミリオンダラー・ホームページにサイバー攻撃をする、という内容の脅迫メールを受け取っていました。いたずらだと思ったテューさんはこれを無視しました、1週間後に再び脅迫メールを受け取り、彼は再びそれを無視しましたが、その直後ウェブサイトに不正アクセスや電子メールが殺到し、サイトがクラッシュしてしまいました。「脅迫者の言いなりになったらテロのように再び別の攻撃が始まる。私はそういうものに毛頭対応する気も、金を払う気もなかった。」とのちにテューさんは話しています。地元警察のハイテク犯罪部門と連邦捜査局が捜査をするまでの大きなニュースとなり、ミリオン・ダラー・ホームページのセキュリティの強化をするまでの1週間、サイトはクローズされました。

世界のメディアからの注目

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BBCやThe Registerがミリオン・ダラー・ホームページを紹介したことでそれが触媒の役目を果たし、その後は口コミでサイトのことが知られるようになり、興味を持つ人が増えていきました。テューさんはまたいくつかのテレビ番組にも出演しました。しかし彼は「いかにメディアで取り上げてもらうかはあまり重要ではなく、ミリオン・ダラー・ホームページが注目を集めるのに十分なほど面白いアイデアだっただけだ。」とのちに語っています。2005年11月にはサイトのストーリーはヨーロッパ各国から中国まで全世界で注目されるように。そしてアメリカではウォールストリート・ジャーナルがミリオン・ダラー・ホームページがインターネットコミュニティに与えた影響に関しての記事を掲載。「テュー氏自身はインターネットコミュニティの有名人の仲間入りを果たした。(中略)オンラインスタートアップの中でこれまでにはなかったビジネス」と評価しました。世界の専門家が「単純で見事」、「賢い」、「巧妙だ」、「ユニークで、しかも楽しい」などとこのサイトを賞賛しました。アメリカのある雑誌は、ミリオン・ダラー・ホームページのことを「内容は何もない。素晴らしいグラフィックスも景品もパリス・ヒルトンの動画もない。CMしか放送しないテレビのチャンネルや、広告しか掲載していない雑誌を想像してみればよい。それがミリオンダラー・ホームページだ。バイラルマーケティングの力を見せつけた驚くべき実例だ」と掲載しました。

レガシー(伝説)

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テューさんは結局、大学の経営学コースを辞め、ソーシャルネットワークのシステム開発の仕事に関わるようになります。2012年にはアメリカで人気のマインドフルネス(メンタルヘルス)にフォーカスしたアプリ、Calmを開発します。彼は現在アメリカのサンフランシスコで起業家として活躍しています。さて、ミリオン・ダラー・ホームページが今どうなっているか気になりますよね。なんと2021年5月現在もサイトは稼働していてアクセスすることができます。しかし多くの広告はリンク切れしています。2017年のハーバード大学の調査によれば、2,816あった広告リンクのうち、547(342,000ピクセル分、342,000ドル相当)はリンク切れを起こしていて、489(145,000ピクセル、145,000ドル相当) はリダイレクトされ、異なるドメインのサイトへと移行します。それ以外の広告リンクはそのサイトにいくことができても、もともとの商売や目的とは異なるサイトが現れるケースが多いそうです。2019年4月にはBBCの調査で、全広告リンクのうちの約40%はリンク切れとなっているという結果も出ています。しかしそういった中でも、ミリオン・ダラー・ホームページには今でも日に数千のアクセスがあり、多くの人がインターネット時代初期の「遺産」のようなサイトを見て楽しんでいます。