診療所ではわからなかった赤ちゃんの異常
診療所でおこなった検査では赤ちゃんに目立った問題は見つかりませんでした。それでも赤ちゃんはまだ泣き止みません。診療所の簡易な検査では見つからないような深刻な異常があるに違いがないと考え、精密検査を行うことにしました。検査は診療所のスタッフの一人がバイクに飛び乗り、ケニアの首都にあるラボへ持ち込むことになりました。チーム全員で迅速に動いたおかげでその赤ちゃんの検査結果は翌日には出ました。それまでに大きな病気などをしたことがないというその赤ちゃんの結果から、そこにいたスタッフ全員が衝撃を受けるような事実が判明したのです。
その診療所だけでなく、ケニアのほとんどの医師は見たことも聞いたこともない病気がその赤ちゃんにあるということがわかりました。世界的にもまれな体の異常で、当初はどんな治療をすべきなのか検討もつかず、ケン医師をはじめとする経験を積んだ診療所の医師たちはため息をつきました。たとえケニア全土の医師でこの病気の治療を経験をあるはほとんどいないはずです。しかしながらその赤ちゃんの治療は試行錯誤をしながら進められたのでした。
ケニアでのケースが再び
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一方で三つ子のカーラの検査結果を持ってケンはベラとジョシュの元に行き、カーラの病状が彼がケニアで経験したその赤ちゃんの症状に非常に近い何かであるということをケニアでの話を交えながら伝えたのでした。検査の結果からケニアの赤ちゃんよりも、カーラにはその症状が強く出ているということも伝えました。夫婦はお互いの手を握り、ケンが話す一言、一言を真剣なまなざしで聞いていました。ケンが話を終えると、ベラはすぐに尋ねました。「それで・・・そのケニアの赤ちゃんはどうなったのでしょうか。」
ケンの顔がその時初めてぱっと明るくなりました。「ケニアの赤ちゃんのケースを発表し、様々な病院や大学がより詳しく調べたところ、体に深刻な影響を及ぼすものではありませんでした。後遺症なども全くありませんでした。実際のところその病気のおかげでが、他の一般的な子供よりも効率的に早く筋肉が成長することがわかったのです。」と続け、カーラも同じようにアスリートのような体質が備わって生まれてきた、とケンは夫婦にわかりやすく伝えました。でもケニアの赤ちゃんにはまだ続きがありました。